昨年のパ・リーグ最下位から一転、今季はここまで2位と好調を維持している西武。今季からチームの指揮を執る西口文也監督を陰で支えているのが、今季から首脳陣に加わった鳥越裕介ヘッドコーチ(53)だ。
鳥越コーチは明大を経て現役時代は竜やダイエー(現ソフトバンク)で内野手としてプレー。引退後はソフトバンクやロッテでコーチや2軍監督として選手の育成に携わった。熱心な指導はチーム内外から定評が高く、最下位からの立て直しを図る西武から白羽の矢が立った。
「(昨季のシーズンで)91敗した悔しさを忘れないため」に背番号は「91」を背負う。「まずやることは選手、スタッフ、チームを全て知ること」と就任会見でも語ったように、試合前の練習では選手だけでなく、トレーナーなどスタッフにも積極的に声をかけてコミュニケーションを図ることを大事にしている。
5月25日に行われたロッテ戦の試合前には、鳥越コーチの「気配り」と「厳しさ」が垣間見えたシーンがあった。
外崎が三塁で守備練習をしているのをじっと見つめていた鳥越コーチは、練習の合間に外崎へ声をかけていた。試合後に鳥越コーチに尋ねると「(外崎に)迷いが感じられたから」といい、守備に関するアドバイスをしたという。
...もっと見る外崎は今季、守備の負担を考慮して二塁から三塁へ転向。過去に経験している守備位置とはいえ、シーズンを通して本格的に取り組むのは初めてでもある。選手が練習中に見せたちょっとした〝迷い〟も、鳥越コーチは見過ごさなかった。
一方、25日のロッテ戦は西武にとって、同一カードの最後の試合。翌26日は、試合が設定されていなかった。「(練習中から)ちょっと緩んでいた」と感じた鳥越コーチは試合前、チームに流れていた〝空気〟をリーダー格でもある源田に伝えたという。引き締まったチームはこの日、打線が機能して8-0とロッテに快勝した。
「やるべきプレーや動きが、去年に比べて徹底してできている」。25日の試合後、源田はチームの手応えを口にした。チームの失策数はリーグ最少の16個(25日時点)。リーグ屈指の先発投手陣を軸に、今季は守り勝つ野球が浸透しつつある。鋭い観察眼と的確なアドバイスが光る鳥越コーチの加入をきっかけに、チームは生まれ変わろうとしている。
by🐟