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◇連載「どらポジ元年『明と暗』」(1)
井上一樹監督(54)の就任1年目はAクラスに迫った時期もあったが、最後は4位で終えた。「どらポジ」を合言葉に戦い抜いた今季、チームは投打で少なくない収穫を得た一方、指揮官には誤算もあった。連載「どらポジ元年『明と暗』」を6回にわたって届ける。第1回は井上監督。ベンチでの笑顔と、人知れぬ苦悩。近くて遠いAクラスとなった。
井上監督の足取りは重かった。全日程を終えた1日の巨人戦(東京ドーム)の試合終了後。ミーティングを終えてチームはいったん、解散。バスに向かって歩く通路で指揮官は考え、つぶやいた。
「苦しかった、すごく苦しかった…。1年前と何が変わったのだろうか。昨季までのチームの雰囲気、戦い方、違う部分を振り返ることからだな」。最下位から4位へ階段は2段上がった。とはいえ、借金は昨季と同じ15を抱えた。
燃え盛る火中の栗を拾った。3年連続最下位からの逆襲イヤー。指導や育成方法で、適切なバランスを保てないまま走り続けた前政権からのバトンタッチ。昨季、2軍監督としてチームを把握していた。だからこそ、まずは前向きに。スローガンを「どらポジ」に定めた。
...もっと見る リスク承知でドラスチックな変化を促した。4番は石川昂。テコでもぶれないと腹に決めた。だが、開幕から2週間を経た4月11日の阪神戦(甲子園)。試合後に降格が決まった。理由は「三振してニタニタしている」から。遊撃・村松とファウルフライをお見合いしたシーンもあった。
開幕前の福永の右膝靱帯(じんたい)負傷と石川昂の不振。打線の中心に2人を据えるプランは、春先で頓挫した。そこに細川や高橋周、木下ら主力のけがが追い打ちを掛けた。
復帰時期の判断にも狂いが生じた。膝に不安を抱えたまま復帰した福永は、頭から本塁へ突っ込んで左手を骨折した。再びリハビリ生活を強いられ、最終盤に昇格。打率1割7分3厘、1本塁打、3打点でシーズンを終えた。井上監督は「こうしておけば、という振り返りもある」と話す。早かった。焦りがあった。
投手陣にはエースが不在だった。エース指名した高橋宏は終始、負け先行。「今年はエースがおらんかった。エースは負けへん選手。候補の筆頭は宏斗、次点は金丸。草加、松木平とかどれだけ来年やってくれるか。秋に鍛えなきゃいけない」。エース候補がもう一皮むけることを期待した。
「投・打・守、すべてに一枚足りなかった」。当面は現状分析という苦しい作業と向き合っていく。最終戦後のミーティングでは「10月いっぱい野球やろうね、という約束を果たせなかった原因をみんな考えてくれよ」と呼びかけた。
当初の構想とは異なる形で輝いたのはチーム勝ち頭となった大野。37歳がなぜチームトップ11勝(4敗)を挙げられたのか。秘訣(ひけつ)があった。

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