9月というのに真夏の気配が消える様子の一切ないナゴヤ球場だった。ちょっとした休憩時間に顔を合わせると、中田がおもむろに口を開いた。
「西岡剛さんって阪神辞めたの何歳?」。34歳シーズンのオフに阪神を退団し、その翌年から独立リーグでプレーしていた。「もうオレ、その年齢超えてるのか」。そこから「稲葉さんは?」「小谷野さんは?」と続いた。何を考えているのかは、言わずとも伝わってきた。来年の今ごろどうなっているのだろう―。シーズン中にここまで険しい表情を見るのは初めてのことだった。
それだけ苦しいシーズンだった。大きな期待を背負ってのドラゴンズ入り。3、4月は順調にスタートした。チームは8年ぶりの単独首位にも立ち、その原動力になったことは間違いない。そこから中田の低迷とともにチームは下降線を描いていった。
わずかな誤差が大きな結果の差を生み出す世界。求められる打撃に対応しようとするがあまり、徐々に狂いが生じていった。「いろいろなフォームを自分自身やりすぎてしまった部分はあるし、自分に対してもっと意思を強く持っていればよかった」。故障にも悩まされた。一番ネックになったのは腰だ。シーズン中も痛み止めは何度も打っている。それもいつしか効かなくなっていた。「長くやっているからその辺は仕方ないけど何ともならなかった」。自分の意思ではどうしようもならない状態だった。
ちょうど中田が30歳になったときのことだった。今後の野球人生をどう思い描いているのか聞いたことがある。「案外スパっと辞めるかも。執着はしないと思う」。その考えは変わっていないのだろう。今シーズンの前にも「この2年でダメなら終わり」と言っていたし、先日の契約更改の場でも「ラストチャンス」と話していた。それが今の中田の”リアル”ということだ。
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