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◇渋谷真コラム・龍の背に乗って
那覇の悪夢から3年がたつ。そう告げると、上林はしばらく考えてから「あ、そうか。そうですね」と笑った。
2022年5月18日。西武戦に備えて、試合前のシートノックを受けていた時に悲劇は起こった。倒れたまま立ち上がれない。救急搬送され、右アキレス腱(けん)断裂と診断。2日後には佐賀市内の病院で縫合手術を受けた。全治6カ月。打撃好調だったシーズンは、突然暗転した。
翌年、そして竜に移籍した昨季も2軍にいた。だから「5・18」を1軍で迎えるのは、3度目にして初。この日は無安打だったが、5本塁打、19打点に7盗塁は、いずれもチームトップである。ただ、3年が経過してなお、患部のメンテナンスは欠かせない。
...もっと見る 「普段は大丈夫なんですが、疲れてくると痛みも出ます。だから足裏をローラーでほぐしたり、空気圧で脚全体をマッサージする機械は手放せないんです」
谷沢健一、門田博光、前田智徳…。過去、何人もの天才打者を苦しめてきたのがアキレス腱の故障である。ある意味で、グラウンドに立ち続ける限りは完治もない。
「塁に出る。しっかり守る。地味なことでも勝利に貢献できたかな」
突き放した8回の2点は、上林が投ゴロ失策で出たところから始まった。9回もヘルナンデスの右中間への安打にうまく回り込み、単打にとどめたことで甲斐の三ゴロが併殺打になった。
連発の山本、代打逆転弾の板山はともに戦力外となり、中日で再起を期した同期入団。同じく代打3ランの巨人・リチャードもソフトバンクでともに苦しんだ間柄だ。
「ヤス(山本)さん、板さんすごかった。僕も打ちたかったけど…。あの日のことを思えば、グラウンドに立って試合に出ているのは不思議な感じ。チームも僕も今が正念場。頑張ります」
病床で絶望を感じたあの日から3年。悪夢は覚めた。まさか違うチームでクリーンアップを任されているなんて。だから人生は苦しく、そして楽しい。
by🐟

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