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田中幹也内野手(24)が一振りで重苦しいムードを吹き払った。一時4点差をつけながら追いつかれた21日のDeNA戦(横浜)で9回に勝ち越しの今季1号ソロ本塁打。連敗を阻止する殊勲のアーチに井上一樹監督(53)も「小さな大巨人。小柄でも活躍できると示してくれた」と手放しで褒めたたえた。

球場のファンも、両軍ナインも、そして打った本人すらも想像していなかったに違いない。雲が覆う横浜の夜空にかけた決勝アーチ。静まり返る敵地のダイヤモンドを回りながら、田中は右の拳を握り締めていた。

 5点を取り合い迎えた9回1死で打席へ。2ボール1ストライクからの4球目。内角にきた152キロ直球を振り抜いて、白球を左翼席中段へ突き刺した。今季1号ソロで試合を決めた殊勲者は「真っすぐだけ待って『1・2・3』でいきました。野球人生で一番の打球。打った瞬間に入ったと思ったことなんてなかったので、びっくりしました」と試合後も興奮は収まらなかった。

 この日は決勝弾に加えて、4回にはバウアーから適時打を放ち、2安打2打点。だが「僕のせいでこんな試合にしてしまった」と省みた場面もあった。7回1死一塁で代打・戸柱が放った一、二塁間のゴロをダイビングキャッチ。一塁は無理と判断してオーバーランした走者を刺すことを考えて二塁へ送球。一塁へ投げていたとしても、アウトになるかは微妙だったものの「僕の判断ミス」と悔しがった。

 喜怒哀楽を表現できるのも試合に出続けているから。9試合連続で、二塁でスタメン出場。昨季は軽快な守備を見せていた半面、打撃で苦しんだ男が打率3割6分1厘とバットで結果を残している。「勉強する時間があったのが大きかった」と振り返ったのは、3月に左手有鉤(ゆうこう)骨骨折の手術を受けた後のリハビリ期間だった。
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