今季の安打数がリーグ最多タイの岡林勇希外野手(23)が9日、気づき始めた極意を口にした。開幕から徐々に調子を上げ、68安打は広島・ファビアン、阪神・近本と並び、打率2割9分3厘はリーグ3位につける。同日は、10日からの楽天3連戦(山形、楽天モバイル)に備え仙台市内の宿舎へ移動した。イメージするのは低くて強いライナー。好調の秘訣(ひけつ)は右肘の向きにあり―。
◆岡林、4月と5月末の打撃フォーム比較【写真】
岡林には打撃練習中も、その前のトレーニングでも共通する動きがあった。構えから打ちにいくまで、右肘が差す方向は地面だという。
「逆方向へのポップフライや高い打球は状態がよくない時です。バットが寝ているんです。インパクトでバットが立つことは理論上ないんですけど、垂れたらダメです」。6月は3割6分7厘の高打率。1、3番打者として打線を引っ張っている。
経験と受けたアドバイスが頭の中で重なり、打撃フォームという形で表れ始めたのは5月だった。「開き気味だった右脇を締めました。構えから右肘は地面を向いています。それを崩さないようにしています」。左打者が右脇を開けるのは米大リーグの主流。だが、全ての打者に当てはまるわけではない。
...もっと見る 知らず知らず変調をきたしていた。きっかけは昨春のキャンプ。送球時に右肩を痛めた。その後の打撃フォームは、大島から脇の開き具合で「変な癖がついている」と指摘された。森野打撃・作戦コーチからは「打ってるから変えろとは言わない。状態が落ちた時や、時間があるときにでも」と指導されていた内容こそ、右肘の差す方向は地面、だった。
打球の強さに物足りなさを感じていた5月、自身でマイナーチェンジを決めた。右腕を体に付けて立つ「気をつけ」の姿勢から、肘を90度曲げる。チューブを引っ張りインナーマッスルを鍛える動作は、打撃フォームを体に染み込ませる作業になった。インパクトでバットと体は水平。そこから手首が立ってくるイメージが定着してきた。月間打率は3、4月が2割7分5厘、5月が2割9分で、6月は3割6分7厘。リーグ最多安打タイには根拠があった。
2022年に161安打で最多安打のタイトルを手にした。キャリアハイは翌23年の163安打で、球団記録は02年の福留孝介と14年の大島の186安打。今季はここまで170安打ペースだ。両リーグで打率3割台が計4人と「投高打低」の中で抜けだしたい。
「足し算ですよね。シーズンは約600打席。バントや犠牲フライ、四死球もあって打数は減る。どうやったら3割か。安打は足し算。チームにとっても自分にとっても一打席をいかに無駄にしないか、そういうことだと思ってやっています」
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